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種苗法

 品種改良された農林水産植物について、品種登録や表示規制を定める法律です。
 対象は「農林水産植物」なので、残念ながら、牛や豚などの家畜は対象になりません。
 近年、日本の優良品種が海外に流出し、他国で増産されて第三国に輸出されるなどしたため、種苗法の一部が2020年12月に改正、交付され、2021年4月と2022年4月から施行されています。

 海外流出の事例は、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)が開発した「シャインマスカット」です。農林水産省の資料によると、皮ごと食べられて甘くて美味しいこのブドウの開発が始まったのは1973年の「安芸津21号」、その後1988年から後代品種の開発が始まりますが、これ以後13人の研究者が品種開発に携わってきたのだそうです。
 こうして、ようやく2006年に品種登録、2007年に苗木販売が開始されたのですが、苗木を購入した何者かが海外に持ち出したようです。改正前の種苗法では、販売後の海外持ち出しは違法ではありませんでした。

 種苗法は、農林水産植物の品種育成の振興を趣旨としているので、特許法などと同じ「知的財産権法」に分類されます。
 中心となる重要な概念は「育成者権」で、これは特許法の特許法と同じようなものです。

 「育成者権」は品種登録によって発生します。
 品種登録を受けるためには、種苗法の第3条および第4条に定める、区別性、均一性、安定性、未譲渡性、名称の適切性、の要件を満たす必要があり、品種を育成(人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定すること)した人またはその承継人に「育成者権」が発生します。

 育成者権者は登録品種の種苗、収穫物及び一定の加工品を独占的に利用することができます。
育成者権者以外の人は育成者権者の許諾を得なければ登録品種を利用することはできません。

 登録品種の増殖を行う場合は、育成者権者の許諾が必要です。
○改正前は、農業者による自家増殖には育成者権が及ばず許諾不要とされていました(改正前第21条2項3項)が、これが削除され、農業者による自家増殖も許諾が必要となりました。

 育成者権者は、登録品種の種苗等の利用を他人に許諾(利用権の設定)して、利用料を得ることができます。
 育成者権は、財産権として譲渡することもでき、また、質権を設定することもできます。

 育成者権の存続期間は登録日から25年又は30年です。但し、登録料が納付されない場合などには取り消されます。

 育成者権の効力の例外として、正規に購入した種苗を用いて得られた収穫物や加工品の利用には育成者権の効力は及ばない(権利の消尽)ため、その収穫物や加工品は自由に販売等することができます。
但し、
○今回の改正により、登録品種の種苗等が譲渡された後でも、当該種苗等を育成者の意図しない国へ輸出する行為や意図しない地域で栽培する行為について、出願者が品種登録出願時に持出し国や栽培地域を「指定」することで、指定以外の国や地域に育成権を及ぼせるようになりました。指定地以外への持出し等は、育成者権の侵害として罰則の対象になります。

 そうすると、ホームセンターなどで購入した種苗について、どんな制限があるのか、消費者は不安になりますよね。
○そこは今回の改正で、登録品種には登録品種である旨及び制限がある旨の表示「PVPマーク」が義務付けられ、輸出や栽培地域に係る制限の内容は農水省のHPでも公表されることになりました。

 日本が多大な労力と税金を投入して開発した優良品種が海外に流出して、外国の業者にタダ乗りされるなんて口惜しいですよね。
 日本の農家さんの収益にこそ還元されるべきだと思います。

流通品種データベース (jataff.or.jp)

種苗法の改正について:農林水産省 (maff.go.jp)