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サーキュラーエコノミー(循環経済)

 国際情勢の不透明化もあって、循環経済(サーキュラーエコノミー、CE)への移行が、環境問題の枠を超えて求められています。
 中小企業にとっても、脱炭素、生物多様性、とともに、循環経済、が経営課題となってきています。
 一昨年(2024年)5月に成立した「再資源化事業等高度化法」が、昨年(2025年)11月21日に全面施行され、昨年6月に改正された「資源有効利用促進法」は、今年(2026年)4月から施行されています。

 法律でみると、循環経済社会への移行を基礎づけるのは「循環型社会形成推進基本法」という法律です。あまりなじみがないかもしれませんが、意外に古く、2000年6月に成立、公布されました。
 第2条で循環型社会を「製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分(略)が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。」と定義しています。

 この法律は、国に「循環型社会形成推進基本計画」を策定するよう求めており、概ね5年毎に策定されています。
 直近の「第五次循環型社会形成推進基本計画」は、一昨年(2024年)8月に閣議決定を経て、公表されました。そのタイトルには「~循環経済を国家戦略に~」と付され、循環経済への移行が明確に打ち出されました。
 これを受けて、「循環経済に関する関係閣僚会議」が設置され、2024年12月27日には「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ」がまとめられ、今年(2026年)4月21日には「循環経済行動計画」が示されました。
  循環経済(サーキュラーエコノミー)に関する関係閣僚会議|内閣官房ホームページ 

 循環経済への移行は、環境問題を超えて、4つの観点から、我が国が直面する諸課題への有望な解決策と期待されています。
<カーボンニュートラル達成や生物多様性保全への貢献>
 温暖化ガス排出量の約36%は、資源循環によって削減に貢献できる余地があるそうです。
<経済安全保障への貢献>
 世界的な経済成長とマテリアル資源の逼迫枯渇のなか、自給率の極めて低い我が国は、いわゆる都市鉱山への期待が高まっています。
<産業競争力の強化>
 循環経済関連ビジネスの市場規模を、2030年までに80兆円以上にする政府目標が示されています。
<雇用創出 地域経済活性化>
 各地域に存在する、先進的な取組みを行う静脈企業、に期待が寄せられています。

 資源有効利用促進法は、1991年4月にいわゆるリサイクル法として制定されましたが、2000年の循環型社会形成推進基本法の制定に合わせて改正され、いわゆる3R法となりました。今回さらに、2023年のいわゆるGX推進法の改正とともに改正され、今年(2026年)4月から施行されています。所管は経産省です。
 主な改正ポイントは4つです。
・自動車や家電、容器包装など「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」の大手製造業者等に対し、再生資源の利用計画の策定、提出、定期報告を義務化
・優れた環境配慮設計(長寿命化、分別・分離が容易、など)の認定制度を創設し、認定事業者に特例措置
・「指定再資源化製品」(小型バッテリー使用製品)メーカー等による自主回収・再資源化事業の認定制度を創設、廃棄物処理業許可不要
・リユース、リペア、シェアリング、などの事業を「CE(サーキュラーエコノミー)コマース」として位置づけ、促進

 再資源化事業等高度化法は、一昨年(2024年)5月に成立、昨年(2025年)11月21日から全面施行されました。所管は環境省です。
 趣旨は、廃棄物処理等の静脈産業について、軸足を、従前の「適正処理」から「リサイクル・再資源化内容」に移行して、資源循環産業としていく、というものです。
 新たに、3つの制度が設けられました。
・高度再資源化事業
製造側が必要とする質・量の再生材を安定供給できるための動静脈連携事業を国が一括認定
・高度分離・回収事業
指定廃棄物(太陽電池、リチウムイオン電池、など)の再生資源回収事業の高度化を支援、促進
・再資源化工程の高度化
温室効果ガス削減の高効率な設備導入支援

 法律から見ても、すでに1990年代後半から言われていた循環型社会、循環経済への移行ですが、いよいよ待ったなし、の状況のようです。
 ざっくり言うと、従来の、大量生産・大量消費・大量廃棄のリニア(直線)エコノミーの経済構造から、天然資源の投入はなるべく減らして、できる限り国内で資源を循環させ、どうしても再資源化できないものだけ適正処理して廃棄するという経済構造に代えていく、ということです。

 脱炭素社会も、自然共生社会も、循環型社会も、結局は持続可能な社会ということですが、その原則のシンプルな表現を御紹介しましょう。米国の経済学者ハーマン・デイリーが1970年代に提唱したものです。「ハーマン・デイリーの持続可能な発展の3原則」と呼ばれています。
 (1)再生可能な資源の消費速度は、その再生速度を上回ってはならない。
 (2)再生不可能資源の消費速度は、それに代わりうる持続可能な再生可能資源が開発されるペースを上回ってはならない。
 (3)汚染の排出量は、環境の吸収量を上回ってはならない。

 どうですか? とってもわかりやすいでしょう?
 私なりの理解では、地球が46億年かけて自分のうちに閉じ込めた物(地下資源)をもうこれ以上掘り起こさないようにしよう、ということだと思います。
 地表の、太陽エネルギーに由来する資源の循環だけで人の営みができれば、平和で美しい世界になると思います。