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「パワハラ防止法」施行されています

コロナ禍でそれどころでなかった今年6月、いわゆる「パワハラ防止法」が施行されました。

律の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」略して「労働施策推進法」が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。

改正法は、今年6月から施行されていますが、中小事業主(小売業以外のサービス業で従業員100人以下または資本金5000万円以下、製造業等で従業員300人以下または資本金3億円以下、詳しくは後記サイトで確認してくださいね)は当面、努力義務とされ、2022(令和4)年4月から義務化されます。

 職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる、

  • 優越的な関係を背景とした言動であって、
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • 労働者の就業環境が害されるもの

と定義されます。(労働施策推進法第30条の2)

  • の優越的関係には、同僚や部下であっても知識や経験で優位の関係、や、集団化して優位に立つもの、も含まれます。
    • の業務上の必要性相当性は、当該職場や加害者の主観ではなく、社会通念に照らして判断されます。
    • は、労働者の能力発揮に重大な悪影響が生じるなど当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じる必要がありますが、その判断は、「平均的な労働者の感じ方」、即ち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準として、判断されます。

 事業主に義務化される「雇用管理上の措置」とは、「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他」(労働施策推進法第30条の2第1項)ですが、その具体的内容は、厚生労働大臣が「事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(いわゆるパワハラ指針)を定めることになっています。この「パワハラ指針」は後記サイトでダウンロードできます。

大まかに言うと、次のような内容です。

○パワハラの内容定義とそれを禁ずる旨の方針を明確化し、周知、啓発するとともに、パワハラ行為者に対しては厳正に対処する旨の方針と対処内容を就業規則等で文書化し、周知、啓発すること

○相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知するとともに、相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

○パワーハラスメントが発生した場合の迅速かつ適切な対応、具体的には、迅速かつ正確な事実確認、被害者に対する配慮、加害者に対する措置、再発防止

さらに、労働者がパワハラ相談を行つたこと、や、雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他の不利益取り扱いの禁止も規定されました(労働施策推進法第30条の2第2項)。

また、労働施策推進法第30条の3では、パワハラ防止の「責務」が、国とともに、事業者と労働者にも課されました。

「責務」は、法的義務ではないですが、将来的には義務化されることを想定して、今から併せて準備していかれることをお勧めします。

例えば、自社従業員以外の、外注先フリーランス、インターンシップ生、就活生、に対しても、自社従業員に対するものと同様の措置を講じたり、方針を示したりすること、や、取引先など他社従業員から自社従業員に対するパワハラ行為に対する対応も定めておく、などです。

ちなみに、今回の改正は、セクハラやマタハラの防止対策の改正と同時にされたものですが、セクハラに関する「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」略して「男女雇用機会均等法」の改正では、自社労働者が他社労働者にセクハラを行った場合の協力対応が努力義務化されました(男女雇用機会均等法第11条3項)。

コロナ禍による業績悪化で職場環境の改善どころじゃない!というのが、経営者さんの本音かもしれません。しかし、職場におけるハラスメントは、コロナ以前から重大な社会問題になっていました。

経営者さんも従業員さんもみんなが不安を抱えている今、少し立ち止まって考えるのは、とても勇気がいりますね。

でも、自宅勤務やリモートワークが常態化しつつある今、コロナ後の新しい職場の風景は、まったく想像もつかないほど激変しているかもしれません。

厚生労働省の専用サイトは↓です。

職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント (mhlw.go.jp)