カスハラ対策・求職者セクハラ対策の義務化、10月からです
最近、公共交通機関の駅や車内で、カスハラ啓発ポスターを見かけるようになりました。
昨年(令和7)6月4日に成立、同月11日に公布された「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」等改正法の主要な内容が、今年10月1日から施行されます。
その内容は、全ての事業者(規模や業種を問わず)に対し、雇用管理上の措置として、次の2つが義務化されます。
1)カスタマーハラスメント対策
2)求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策
先ず、各種ハラスメント対策措置の根拠法は、いくつかの法令に分散しているので、整理して見てみましょう。
条文の文言は、ご興味があればe-govなどご覧くださいね。こういう法律があるんだぁと知っていただければ十分です。キイワードは「雇用管理上の措置」です。
○セクシュアルハラスメント(セクハラ)
⇒雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)
第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
求職者セクハラ(新設)
⇒同法
第13条(求職活動等における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)*新設
○パワーハラスメント(パワハラ)
⇒労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)
第31条(職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
*現行は第30条の2
○マタニティハラスメント(マタハラ)
妊娠・出産等
⇒雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)
第15条(職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
*現行は第11条の3
育児・介護休業等
⇒育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)
第25条(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
○カスタマーハラスメント(カスハラ)
⇒労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)
第33条(職場における顧客等の言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)*新設
カスタマーハラスメント対策の義務化
カスタマーハラスメントの場合、現場の実際では、顧客等による正当な要求との区別に留意する必要があります。
「カスタマーハラスメント」とは、
1)顧客等の言動、であって、
2)(業務の性質その他の事情に照らして)社会通念上許容される範囲を超えたもの、により
3)(労働者の)就業環境が害されるもの
と、定義されています。
「社会通念上許容範囲」の判断が難しいと思われるかもしれませんが、「言動(要求)の内容」×「手段(行為)や態様」で分析的かつ総合的に検討します。どちらかが無くても、どちらかだけで社会通念を超えれば、該当し得ます。
顧客等は、潜在顧客はもちろん事業に関係を有する者を広く含みます。
直接対面のみならず、電話やSNS等のインターネット上の言動も含まれます。
事業者に義務付けられるカスハラ防止措置は、
◆事業主の方針等の明確化 及び その周知・啓発
◆相談体制の整備(相談窓口の設置と周知)*実際の運用では間口を広く設定するのが良いです。
◆事後(カスハラ発生)の迅速かつ適切な対応
(迅速正確に事実関係(5W1H)を確認、被害労働者保護、再発防止措置)
*調査の結果、カスハラと認めにくい場合でも、同様に上記対応対象にするのが良いです。
◆実効性確保に必要な防止措置
(カスハラ対処方針を予め策定、顧客等対応力向上も望ましい)
◆その他(プライバシー保護、不利益取扱禁止)
求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化
「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」とは、
1)雇用する労働者による「性的な言動」により、
2)求職者等による求職活動が阻害されるもの
をいいます。
求職者等には、求人に応募する者のみならず、求人活動への参加者や実習生も含まれます
求職活動等には、採用面接への参加のみならず、就職説明会への参加、従業員(雇用労働者)訪問、インターンシップ参加、実習の受講も含まれ、SNS等のオンライン上のものも含まれます。
事業者に義務付けられる防止措置は、
◆事業主の方針等の明確化 及び その周知・啓発
(就職活動等に関するルールを予め明確化して、労働者及び求職者等に周知、啓発するのが良いです)
◆相談体制の整備(相談窓口の設定と求職者への周知、)*実際の運用では間口を広く設定するのが良いです。
◆事後(セクハラ発生)の迅速かつ適切な対応
(迅速正確に事実関係(5W1H)を確認、被害求職者等保護、行為者に対する適正な措置、再発防止措置)
*調査の結果、セクハラと認めにくい場合でも、同様に上記対応対象にするのが良いです。
◆その他(プライバシー保護、不利益取扱禁止)
派遣労働者を受け入れる派遣先にも適用があり、また、自社従業員が取引先等の他社従業員に対してカスハラを行った場合にその取引先等他社から事実確認など必要な協力を求められた場合に応じるべき努力義務、などもあります。
昭和の時代には泣き寝入りや忍従を強いられた状況も、法律の光が当てられることで、次々と改善を迫られてきています。
誰もが気持ちよく働ける、明るく風通しの良い職場づくりに、政府も本気なんだなと感じています。

