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改正省エネ法 来年4月施行

 省エネ法(「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」)が今年5月13日に改正され、名前も新しく「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(傍線筆者)として、来年4月1日から施行されます。
 2050年カーボンニュートラルと、2030年度の温室効果ガス削減目標(2013年度比46%削減)に向け、我が国エネルギー需給構造の転換を後押ししながら、安定供給も確保するための制度整備として、エネルギー供給構造高度化法や電気事業法などの関連法令とともに改正されました。
 省エネ法の改正は、このうちの「需要構造の転換」を担うものです。

 省エネ法はもともと、石油危機を契機に化石エネルギーの「使用の合理化」(省エネ)を目的として、1979年に制定されました。
 その後、1998年にCOP3京都議定書採択を受けて対策強化の改正がなされ、2013年の東日本大震災後の電力需給ひっ迫に対応する改正が為されてきました。

 従前(現行)の省エネ法の概要は、次のとおりです。

1)工場等の設置者、輸送事業者・荷主に対し、省エネ取組を実施する際の目安となるべき判断基準(設備管理の基準やエネルギー消費効率改善の目標(年1%)等)を示すとともに、一定規模(工場等の場合はエネルギー使用量1500kl(原油換算)/年)以上の事業者(「特定事業者等」)には、エネルギー使用状況等を報告させ、取組が不十分な場合には、指導・助言や合理化計画の作成指示等が行われます。

2)特定エネルギー消費機器等(自動車・家電製品等)の製造事業者等(生産量等が一定以上)に対し、機器のエネルギー消費効率の目標を示して達成を求めるとともに、効率向上が不十分な場合には、勧告等が行われます。

 今回の改正の要点は、次の3点です。

① 非化石エネルギーを含むエネルギー全体の使用の合理化
② 非化石エネルギーへの転換の促進
③ デマンドレスポンス(DR)等の電気の需要の最適化

 では、それぞれ見ていきましょう。

① 非化石エネルギーを含むエネルギー全体の使用の合理化
 従前の省エネ法は、もっぱら化石エネルギーを対象にしてきました。
 改正により、「エネルギー」の定義が拡大され、「非化石エネルギー」も対象になります。「非化石燃料」には、廃プラスチックや廃油、廃材、水素やアンモニア、バイオマス由来燃料、が例示されています。
 ただ、水素やアンモニアは、非化石燃料といえども現状では海外調達が多いため、これらも含めた「エネルギー」全ての「使用の合理化(省エネ)」をする必要があります。
 電気の一次エネルギー換算係数も見直され、全国一律の全電源平均係数が基本になります。

② 非化石エネルギーへの転換の促進
 特定事業者(エネルギー使用量1500kl/年以上の工場等)の定期報告制度に、非化石エネルギーへの転換も組み入れられます。
 国が、非化石エネルギーへの転換に関する判断基準(非化石エネルギー使用割合の目標と目標年度、使用割合の目安を提示)と、特定事業者の非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画書作成指針を示します。
 特定事業者は、これらに従い、毎年度、非化石エネルギーの使用割合の向上に関する中長期計画書及び定期報告書を作成し、主務大臣に提出します。
 これにも従前同様、取組が不十分な場合には、指導・助言や計画実施に関する勧告等措置、があります。

③ デマンドレスポンス(DR)等の電気の需要の最適化
 2013年の東日本大震災を機に改正された従前の省エネ法は、「電気の需要の平準化」として、もっぱら夏冬の昼間の時間帯のピークカットを一律に需要家に求めていました。
 しかし、FIT(固定価格買取制度)による太陽光発電の大規模かつ偏在的普及で、九州地域では昼間の時間帯に出力抑制によって大量の再エネ電気が無駄になっています。この太陽光発電による大量供給がある時間帯に需要をシフト(これを上げDR(デマンドレスポンス)と呼ぶそうです)できれば、再エネ活用につながります。また、厳冬による需給ひっ迫時には、需要側にインセンティブを与える節電シフト(これは下げDR(デマンドレスポンス))も有効な対策です。
 電気の需要の「平準化」から、電気の需要の「最適化」に法の文言も変更されました。
 最適化の方策としては、電気の一次エネルギー換算係数が「上げDR」「下げDR」を促進するよう設定されるとともに、電気事業者に対し、電気需要最適化に資するための措置に関する計画(電気需要最適化を促す電気料金の整備等に関する計画)の作成等を求めます。

 特定事業者の定期報告書に対しては、行政がクラス分け評価をして公表しています。
r3_classify.xlsx (live.com)

 エネルギー安全保障が現実に突きつけられている今、デマンドレスポンスもようやく本気の取り組みが始まったようです。