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空き家特措法が改正されました

 正式名称は「空家等対策の推進に関する特別特措法」といいます。2014(平成26)年に成立、翌2015(平成27)年から施行されています。
 この法律で「空家等」とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く」と定義されています。
 この法律ではさらに、「特定空家等」として、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」を定義しています。

 居住目的のない空き家は、1998年の182万戸から、2018年には349万戸へと、1.9倍に増加しました。今後さらに増え、2030年には470万戸になると推計されています。
 空き家特措法は、増える「特定空家」を何とかせにゃアカン!ということで制定されたものですが、施行後の実情に鑑みると、特定空家になってからの対応では限界あり、ということになって、今回の改正に至りました。

 というわけで、今回の改正は、以下の3本柱で対応を強化しようというものです。
1)空家の活用拡大
2)管理不全空家に管理を確保
3)特定空家の除却等の推進

 他に、財政、金融、税制による支援措置も用意されています。
 所有者の責務規程に、国や自治体の施策に協力する努力義務も追加されました。

1)空家の活用拡大
 空家が生じたら、管理不全に陥る前に活用を図れるようにするための施策です。
・市町村の空家等対策計画に「空家等活用促進区域」が創設され、用途変更や建替え等が促進されます。
 建築基準法の接道規制(前面幅員4m)の特例認定、や、用途規制の特例許可、などが用意されています。
・「空家等管理活用支援法人」制度が創設され、NPO法人や社団法人等を市区町村が指定します。

2)管理不全空家に管理を確保
 特定空家化を未然に防止するための施策です。
・国の基本指針に新たに「所有者等による空家等の適切な管理について指針となるべき事項」が追加され、市区町村は、放置すれば特定空家となるおそれのある空家(管理不全空家)に対し、同指針に即した指導・勧告をします。
・市町村長が民法の、不在者財産管理人、相続財産清算人、所有者不明建物管理人、管理不全建物管理人、管理不全土地管理人、の選任請求をすることができるようになりました。
・市区町村から電力会社等に情報提供を要請できます。

3)特定空家の除却等の促進
 代執行の円滑化として、緊急代執行制度が創設され、代執行費用の徴収円滑化も図られました。

4)支援措置等
・令和5年当初予算54億円の「空家対策総合支援事業」が組まれています。
・フラット35地域連携型として、空家の取得や改修を対象とした住宅ローンの金利引下げ期間の延長があります。
・相続した空家の譲渡所得に3000万円の特別控除が認められます。
・管理不全として勧告を受けた空家については、敷地に係る固定資産税の住宅用地特例が解除されます。

 この法改正による目標と効果も公表されています。
①空家等活用促進区域の指定数→施行後5年間で100区域
②空家等管理活用支援法人の指定数→施行後5年間で120法人
③市区町村の取組みにより管理や除却等された管理不全空家及び特定空家数→施行後5年間で15万物件

 この問題の深刻さと緊急性、国や自治体の本気度が伝わってきますね。