育児・介護休業法が改正されました
育児・介護休業法が改正され、先月(2024年5月)31日に公布されました。
改正の趣旨は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、です。
改正の概要は、育児については、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を拡充、介護については、介護離職防止のための仕事を介護の両立支援制度の強化等、です。
では、改正の概要を見てみましょう。詳しくは、最後のリンクサイトを見てくださいね。
すべての事業者に、柔軟な働き方を実現するための措置、が義務化されます(施行日未定:公布から1年6か月以内)
現在、育児休業後3歳までは、短時間勤務制度(1日6時間とする措置)があります。
改正ではさらに、小学校就学前の子を養育する労働者(男女問わず)に、次のうち2以上の制度を(過半数組合等から意見聴取のうえ)選択して措置する必要があります。労働者は設けられたうち1つを選択して利用することができます。
・始業時刻等の変更
・テレワーク等(10日/月)
・保育施設の設置運営等
・新たな休暇の付与(10日/年)
・短時間勤務制度
仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業者の義務になります(施行日未定:公布から1年6か月以内)
妊娠・出産の申出時、子が3歳になるまでの適切な時期に、当該労働者に個別に、面談や書面交付により、意向を聴取する必要があります。
配慮の具体的内容は、指針で示される予定ですが、自社の状況に応じた、勤務時間帯や勤務地に関する配慮、業務量の調整、労働条件の見直し、などです。
所定外労働の制限(残業免除)が小学校就学前まで拡大されます(施行日:令和7年4月1日)
現在は、3歳未満の子を養育する労働者が請求できます。
改正では請求できる労働者を、小学校就学前の子の養育までに拡大しました。
育児のためのテレワーク導入が努力義務化されます(施行日:令和7年4月1日)
現在、3歳未満の子を養育する労働者には短時間勤務制度がありますが、
改正により、テレワークも導入すべきことが努力義務となりました。
看護休暇が「看護等休暇」として拡大されます(施行日:令和7年4月1日)
現在は、小学校就学前まで子の病気やケガ、予防接種や健康診断に認められていた看護休暇が、
改正により、小学校3年生終了までの子の、上記病気等に加え、感染症に伴う学級閉鎖等、入園卒園入学式にも認められることになり、現在の、勤続6か月未満労働者の労使協定による除外可、は撤廃されます。
介護離職防止の個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が事業者の義務になります(施行日:令和7年4月1日)
事業者の措置義務は、次の3点です。
・介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認
・介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援制度に関する情報提供
・研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
介護期の働き方について、労働者がテレワークを選択できるよう事業者に努力義務
介護休暇につき、勤続6か月未満労働者の労使協定による除外可、は廃止されます。
育児・介護休業法の改正に併せ、次世代育成支援対策推進法も、来年3月末までの時限立法だったものを10年間延長し、男性の育児休業取得率の公表義務が、現在の従業員1000人超企業から300人超企業に拡大されます。
少子化に歯止めがかかりません。
そりゃあそうでしょう、というのが実感です。
育児休業や保育園の問題のみならず、少子化の問題には、働き方、ジェンダーギャップ、格差の広がり、などなど社会の構造的問題が深く関わっています。
今回の改正も、もちろん賛成です。
が、子育ての経験から言うと、大変なのは「小学校就学の壁」です。
保育園なら朝7時すぎから夜7時前まで預かってもらえますが、小学校は朝8時過ぎから昼過ぎまでしかありません。フルタイム勤務は到底無理です。
今回の改正で小学校3年生まで認められたのは、看護等休暇、だけでしたが、他の改正ももう3歩、小学校3年生修了までにしてほしかったなぁ。
ただ、社会制度改革でもっとも難しいのは世の中に染みついた意識の改革ですが、息子の世代を見ていると、それは意外に楽観できるかも、と希望も感じています。