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フリーランス法 11月施行

 個人事業主や一人親方という方は昔からおられましたが、デジタル社会になって、ギグワーカー、クラウドワーカー、という新しい働き方が広がってきました。
 このような、個人で独立して仕事をされる方を広く「フリーランス」として保護する目的で、フリーランス・事業者間取引適正化等法(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)が、昨年4月に成立して5月に公布され、今年11月から施行されます。

 フリーランス、というと、ちょっとカッコいい響きがありますが、実態は、昔ながらの個人事業主としての問題が残っています。
 2021年の内閣官房などによる実態調査によれば、フリーランスの約4割が、報酬不払い、支払遅延、などのトラブルを経験し、また、約4割が、記載不十分の発注書しか受け取っていない、そもそも発注書を受領していなかった、そうです。
 2020年11月から開設されているフリーランス・トラブル110番には、報酬の支払に関する相談が多く寄せられているほか、ハラスメントなど就業環境に関する相談も寄せられているそうです。

 中小企業でも、フリーランスさん、個人事業主さん、にお仕事をお願いしているところは多いと思います。

 では、フリーランス法の内容を見ていきましょう。

対象は、事業者間(BtoB)「業務委託」取引
「業務委託」とは、物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託する行為をいい、委託とは、物品・情報成果物・役務の仕様・内容等を指定してその製造や作成・提供を依頼 することをいいます。
 契約類型としては、請負、準委任、になります。売買は含まれません。
 具体的には、個人でお仕事をされている、システムエンジニア、クリエイター、職人さん、カメラマン、などの方々へ外注している場合は、該当すると考えてください。昔ながらの「内職」も定義からすれば含まれます。

当事者は、(特定)業務委託事業者、と、特定受託事業者
 発注側である「特定業務委託事業者」とは、いわゆる組織(=従業員あり)事業者です。但し、個人事業者(従業員無し)や一人社長が発注する場合も「業務委託事業者」として、書面等による取引条件の明示、の規制は受けます。
 受注する「特定受託事業者」がいわゆるフリーランスで、従業員のいない、個人事業者や一人社長です。

 次に、規制内容を見ていきましょう。

発注事業者の義務

全ての発注事業者(会社などの組織、個人事業者、一人法人、特定を含む全ての業務委託事業者)の義務
①書面等による取引条件の明示

組織である事業者(特定業務委託事業者)の義務
②期日における報酬支払(受領した日から60日以内、期日定めないときは受領日、再委託は例外)
③募集情報の的確表示(虚偽表示、誤解を生じさせる表示、古いまま、などは違反)
④ハラスメント対策に係る体制整備(既存の自社従業員向けの体制や窓口の活用も可)

禁止行為(1か月以上の特定業務委託事業者による業務委託)
 フリーランスに帰責事由が無いのに受領拒否や報酬減額や返品をすること、買いたたくこと、正当な理由も無いのに物品購入やサービス利用を強制すること、不当な経済上の利益を提供させること、不当な内容変更ややり直しをさせること、をしてはいけません。

就業環境の整備等(6ヶ月以上の特定業務委託事業者による業務委託)
 育児介護等と業務の両立に対する配慮(フリーランスの申出に応じて)、中途解除等の事前(30日前まで)予告と理由開示の義務が明記されました。

 このほか、違反行為に対するフリーランスの所管省庁(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)に対する申出制度、申出に対する不利益取扱の禁止、所管省庁による調査や指導・勧告、命令・公表、も規定されています。
 また、フリーランスの方が弁護士にワンストップで相談できる「フリーランス・トラブル110番」も設置されています。

詳しい情報はこちらの最新パンフレットにありますよ。↓
 001278830.pdf (mhlw.go.jp)