エネルギー問題を考える
先月(2025年2月)18日、第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
関心はやはり、原子力と再エネの関係ですよね。
第7次では「再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、再生可能エネルギーや原子力などの脱炭素電源を最大限活用することが必要不可欠」となりました。
しかし、日本の将来に向けた選択肢としては、やはり、二項対立にならざるを得ないように思います。
マスコミはじめ大方の論調は、原発回帰、と評価しています。
第6次(2021年10月)では、原子力について「可能な限り原発依存度を低減する」一方、「再エネについては、主力電源として最優先の原則のもとで最大限の導入に取り組(む)」としていました。
再エネと原発の位置づけは、第6次の、再エネ>原発、から、第7次では、再エネ=原発、に変わったようです。
その理由は、「DXやGXの進展に伴う電力需要の増加」、つまり、データセンターの電力需要、特にAIの普及に伴うもの、ということと、「各国が・・多様かつ現実的なアプローチを拡大」、つまり、欧米各国の原発回帰、ということのようです。
でも、それで本当に良いのでしょうか?
欧米各国の原発回帰についていえば、確かにその傾向はあるようです。
ただ、ヨーロッパやアメリカ、中国、と日本では、条件が決定的に違いますよね。日本は世界有数の地震国という条件です。
しかも、万が一の事故に備えた、半径50キロ圏内に人の生活圏が無い広大な荒野も、日本にはありません。
当面の電力需要を賄うための中継ぎ策としても、そんな危険な賭けに出て、良いのでしょうか?
孫やひ孫に恨まれることにならないでしょうか?
もちろん、福島原発事故を受けて、原発の安全規制は格段に強化されました。しかし、それに伴う原発の建設コストも、震災前の約3倍に膨れ上がっているそうです。
DXやGX、AI普及に伴うデータセンターの電力需要ですが、これは結局、誰のためなのでしょうか?
もちろん、日本国内のデジタル需要を賄うとしても、デジタル貿易赤字をさらに拡大して、結局、中東の産油国から外資系IT企業に入れ替わっただけ、にならないでしょうか?
AI技術やコンピューターの省電力化はますます加速すると思います。今まで何度も過大な需要予測に騙されてきたことを思うと、電力の需要予測にも慎重になってしまいます。
「再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的な議論ではなく」といいますが、電線の限られた容量を先に占拠して再エネの新規接続(導入)を阻んでいるのは、原発向け容量だと聞きました。原発は「止められない」ので、予め確保されているのだそうです。
そして実は私、原子力発電にそれほど感心していません。
学生の頃、原子力発電の原理を勉強して、核分裂を誘導・制御する技術には、凄いなぁ、と思いましたが、それで結局は、お湯を沸かしてタービンを回す水蒸気を作るだけ?、と拍子抜けしてしまいました。
素人考えで申し訳ないのですが、原子力すなわち原子の力の利用としては、太陽光発電や発光ダイオードの原理のほうが、物理学的にずっと優れているように思います。間違っていたら、教えてください。
タービンを回す水蒸気を得るためなら、バイオマスや地熱のほうが良いと思います。
エネルギー問題は難しくて、いろいろな議論があります。
最近、良い資料を見つけました。資源エネルギー庁から毎年公表されているパンフレット「日本のエネルギー」です。先日、発行されました。「エネルギーの今を知る10の質問」という副題がついています。
主要なデータが判りやすくグラフで示されているので、ざっくり勉強するのにとっても良いです。
少し、内容を見てみましょう。
「安定供給」
2022年度の日本のエネルギー自給率は12.6%で、主要国中37位です。
原発震災前から化石燃料(海外輸入の石油、石炭、LNG)依存度は80%余ですが、この間、原発と再エネの比率が逆転しました。
「経済性」
日本は、自動車や半導体製造装置などの高付加価値品で稼いだ分(2023年:約28兆円)の大半を、原油・ガスなどの化石燃料の輸入(2023年:約26兆円)に充てている、のだそうです。
「安全性」
原発の安全性に対する新規制基準については、9頁にわかりやすい図とグラフがあります。
新規制基準の耐震・耐津波性能は、地震動1000ガル、防潮堤の高さ29m、に強化されています。
ただ、日本で記録された最大の地震動は、2008年6月の岩手・宮城内陸地震で独立行政法人防災科学技術研究所が記録した4022ガル(ギネス認定)だそうです。
「GX実現に向けたイノベーション」
これを見ると、日本政府は本気で、アンモニアの社会実装やCO2回収に期待しているんだなぁと感じます。
エネルギー問題は、理化学知識がたくさん要るので大変ですが、今のところ、私はやはり、原発依存度はできる限り早く小さくして、限られた財源は、電力インフラの強化(系統の増強と蓄電池の普及)と、地熱利用や洋上風力など再エネ技術開発に振り向けるべきではないかと考えています。
日本は、鉱物資源には恵まれませんが(というよりご祖先さまたちが使い尽くした?)、自然資源には恵まれています。日本の豊かな自然資源を生かし、自然と共生できるエネルギー開発を追求するべきだと思います。
「日本のエネルギー」パンフレット
energy_in_japan2024.pdf