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『先進国』日本も課題満載 先ずは足許をチェック

 大阪ディスプレイ協同組合の顧問をさせていただいています。今回は、その機関紙7月号に掲載していただいた原稿をアレンジしたものを転載します。

 SDGsの1「貧困」から6「安全な水とトイレ」は、国連が、21世紀を迎えるにあたり、人類が2015年までに主に途上国を対象に達成すべきとしたMDGs(ミレニアム開発目標)の深堀り、と説明しました。内容をおさらいすると、
 1 貧困をなくそう
 2 飢餓をゼロに
 3 すべての人に健康と福祉を
 4 質の高い教育をみんなに
 5 ジェンダー平等を実現しよう
 6 安全な水とトイレを世界中に
でしたね。
 確かに、フツーの日本人から見れば、途上国の問題のように思えます。大企業や政府が宣伝するSDGsの1~6の取り組みというと、海外の貧しい国や地域への援助活動が思い出されますよね。でも、毎日のニュースを見ていると、『先進国』のはずの日本も、決して無縁ではないことが判ります。
 

 例えば「貧困」について見てみると、日本ではさすがに「絶対的貧困」(1日1ドルから2ドル未満の生きていけないレベル)こそ無いとされているものの、「相対的貧困」(同国民の大多数より貧しいレベル、世帯可処分所得(2018年)127万円以下、およそ年収にして200万円以下)は、約7人に1人といわれ、その割合は年々、増えているともいわれています。これはまた、その家庭の子どもの教育や健康・福祉を直撃しています。
 昨年9月のユニセフ「子どもの幸福度」調査報告書では、日本は調査対象38ヵ国中20位だったそうです。ちなみに、1位はオランダ、2位はデンマーク、3位はノルウェー、です。分野別にみると、日本の子どもは、「体の健康」が1位、「スキル」で基礎的学力項目が高い一方、社交性分野が低く、「精神的な幸福度」は下から2番目の37位となっています。
 貧困の問題は、格差が広がる「先進国」のほうが子供の心には残酷かもしれません。まわりのみんなも同じように貧しければ我慢できることも、自分だけ買ってもらえないのでは・・・想像しても胸が痛みます。

 「ジェンダー(社会的文化的に見た性差)平等」についても、世界経済フォーラム(WEF)が発表するジェンダーギャップ指数(男女格差度合いを示す指数)2022年によると、日本は世界146ヵ国中116位、G7では最下位でした。
 ちなみに、1位はアイスランド、2位はフィンランド、3位はノルウェーで、韓国(99位)や中国(102位)にも後塵を拝してしまいました。日本はアフガニスタン(タリバン政権)を笑えません。

 SDGsの1~6は、主にMDGsの残された課題とも言えますが、途上国の経済水準も向上し、他方で先進国では格差が拡がってきているなかで、MDGsから引き続く貧困や保健衛生、教育や女性差別の社会問題は、この間の時代の変化につれて新たな様相を呈しています。
 SDGsの17の目標は互いに関連しあっているのです。

 ところで、このブログは主に中小企業経営者さんを念頭に書いているのですが、中小企業は、日本の全従業者数の約7割を雇用しています。
 「全従業者」のほとんどは有権者でもあるはずで、そうするとざっくり日本の有権者の7割は中小企業の従業員(だった人も含め)ということになるわけです。これって、日本の社会に大きな影響を与える潜在的可能性が中小企業に在るってことになりませんか?

 海外で植林したり井戸を掘るのも、もちろん、大変すばらしい活動です。でも、そんな余裕はないよ、という中小企業の経営者さんでも、自社の足許の、従業員さんやそのご家族、取引先の方々そのご家族、自社製品を使ってくれる消費者さんやそのご家族、に想いを馳せてみれば、きっと何かしら、SDGsの17のゴールに比べると出来てないかも、と気づかれることがあるはずです。
 SDGsは「目標」であると同時に、現状を見なおして課題を洗い出すための「ものさし(指標)」でもあるのです。
 少し難しく言い直すと、自社本業の社会的意義、原材料の調達先、取引先、エンドユーザー、また、自社の職場環境、労働条件、非正規雇用や男女格差、そして、従業員さんの家庭環境なども。但し、従業員さんのプライバシーへの配慮や労働者差別(労基法3条)につながらないようには十分に気を付けてくださいね。
 そして、自社が立地し、従業員さんの生活の場でもある「地域」の社会・経済・自然環境、ここにもSDGsの光があてられることを待っている「課題」がたくさん埋もれているはずです。

 これらを17種類のSDGsの眼鏡で見直せば、きっと、今まで気づかなかった課題や自社の貢献が、見えてくると思います。